CMSから静的サイトジェネレータによる運用に切り替えるのは、まだまだ世間受けしにくいという話

以前書いた「デザイナーも静的サイトジェネレーターが使えた方がよいのではないか」の記事が最近よく見られているので、追い記事を書いてみようかと思います。

静的サイトジェネレーターはお客様サイトに使えるのか

前回記事で紹介したように、このブログは「middleman」というツールを使って静的サイトとして運用しています。なので、ファイルも HTML / CSS / JavaScript のみとシンプルです。

静的サイトのメリットは、CMS で必要な DB や サーバ側のシステムがいらず、セキュリティリスクが少ないことと、実体のあるファイルを読み込むため動的サイトよりも早いことです。
また、一定のスキルと知識があってターミナルを使うことに抵抗のない Web デザイナーさんであれば、静的サイトを構築する様々な便利ツールがあるので難しくはありません。

ただこれだと、お客様に静的サイトジェネレーターなどを使って運用させるのはほぼ無理なので、静的サイトジェネレーターの利用場面は主に以下のようになりそうです。

  1. 自分のブログ
  2. CMS 化する前の静的サイト制作
  3. CMS を導入するまでもないサイト制作(更新をほぼしないサイト)

結局のところ、一般向けではありません。お客様に運用してもらうことを考えると、現状は CMS の導入となってしまう訳です。

CMS と言えば Wordpress

CMS で利用率が最も高いのが Wordpress です。
あなたが見ているサイトで何が使われているかを丸裸にしてくれる Chrome の拡張機能の「BuiltWith Technology Profiler」を使っていろんなサイトやブログをチェックしましたが、高確率で Wordpress が導入されていました。

built with wordpress

ちなみに、このツールは Ryo Matsufuji さんの「Chrome で今見ている Web サイトでどのような技術が使われているのかを調べる拡張機能 BuiltWith Technology Profiler」で知ったのですが、かなり便利です。

データ的な観点でも見てましょう。「built with」のトレンドから「CMS usage in Japan(日本の CMS の利用率)」で調べてみました。

CMS usage in Japan

このデータは、2015/10/19 時点のもので、バージョン違いの Wordpress を全て足すと 79.48% となります。別の統計も見てみましょう。

wordpress share in japan

W3Techs」によると、2015/10/20 時点での日本国内の Wordpress のマーケットシェアは 75.7% です。以前は 80% 超えていたようなので、これでも少しは下がっているようです。

Wordpressは万能ではないよ

上記のシェアや利用率のように CMS では一人勝ち状態の Wordpress が、なぜ頻繁に利用されているのか、主な理由は以下のような感じではないでしょうか。

  1. 対応しているレンタルサーバが多く導入しやすい
  2. カスタマイズしやすい
  3. 利用者が多いのでリソースが多い
  4. プラグインが豊富
  5. みんな使っているから良いと思った
  6. SEOに強いと聞いた

1 から 4 が大半な気がしますが、お客様からご相談いただく時には 5 と 6 の理由を言われることがあります。

○○さんのところが Wordpress でホームページ作ったら問い合わせ増えたと聞きまして…。
Wordpress は SEO 効果高くて検索で上に来るんですよね。

こんな感じの内容を聞いた人やそう思っている人は少なからずいるはず。

Wordpress イコール SEO 対策ではない

Wordpress はブログ管理システムで記事(ページ)を量産するのに向いていて、導入すれば制作後の運用をある程度楽にしてくれます。なので、極端な話、HTML や CSS を知らなくてもページを作成することができます。( 最低限の知識はあった方が良い。 )

なので、Wordpress 導入したから SEO 対策はばっちりではありまへん。ある程度は SEO が考慮されているようですが、記事を作成し、タイトルやリンクの調整、タグなど日々対策して改善していく必要があります。いずれにせよ、SEO の基本を知っていないと Wordpress にしただけでアクセスアップなんてのは夢物語です。

セキュリティ対策も必要

乗っ取りの危険性、WordPressのアップデート呼びかけ - US-CERT

Wordpress には管理画面があり、ID と パスワードを入れてログインするのですが、ここにセキュリティリスクがあります。利用者がもっとも多い CMS なので、狙われる数も多い。一度乗っ取られると下層ページに登録した覚えのないページを勝手に作成されたり、知らないリンクを仕込まれたりなど、その時点で投了です。
なので、最低でもセキュリティ対策としては、以下 2 点は必須でやっておきましょう。

  1. SSL
  2. 2段階認証

1 については、企業サイトやお問い合わせがあるサイトでは導入しているはずなので、管理画面も SSL 化されているかを確認しておくだけ。わからない時は担当者等に聞いてください。

2 の 2段階認証は実装するとログインの手間が増えますが、毎度変わるパスワードの入力を求められるため破られるリスクがかなり減ります。実装方法は「wordpress 2段階認証」とかで調べれば参考サイトがいっぱいありますよ。

導入には慎重な判断が必要

Wordpress を使おうとなるのは、「お客様が更新したい」もしくは「自分たちで更新する予定」だからなのですが、蓋を開ければ お知らせとプレスリリース(宣伝) だけの更新というのはよくある話。このように、サイトへの関心が低くてもセキュリティリスクだけは高いという悪循環となる場合だって想定されます。

なので、「自分たちで更新したい」→「よし、Wordpress を導入だ!」ではなくて、

  • 更新の内容と頻度
  • 更新する人の知識や技術(お客様が更新する場合)
  • CMS である必要性
  • セキュリティなどへの理解

などを踏まえて判断すべきかと。

導入するとなったらどうすべきか

CMS はデメリットがあることを理解してもらって導入する

現状はこれしかないと思います。
静的サイトの運用はある程度の知識が求められ、お客様サイトなら足かせになりそうです。なので、上述したようなセキュリティリスクと CMS の必要性などを制作前にがっつり詰めておくことは重要ですね。


Wordpress を勉強している Web デザイナーの方から「学校行った方が良いですか?」と質問されたので、1 年前に某大手スクールで Wordpress 講座を受講した知人に聞いたところ、

本格ビジネスサイトを作りながら学ぶ WordPressの教科書 上記本の手順通りに進めるだけのようで「高すぎる書籍代やった。」と嘆いていました。

本気でやるなら、Wordpress はインストール方法から設定、カスタムまで良記事がたくさんあるので、頑張って探して実践するのが一番の早道です。学校に行くかどうかは教える人とその内容次第ですね。そう思ったら、同じ目的の人に出会えるから通っているって言ってた人もいたな。

ちなみに、自分の初めての記事が「Wordpressをローカル開発環境で動かす - はじめてのWordpress」だったみたいです。

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